グラウンディング

身体・大地・現実に根ざす


癒しや自己の成長に働きかけはじめるには、まずは土台としての身体からはじめるのがいいでしょう。現代のライフスタイルですと、あまり身体に注意を向けることが少なくなっているようです。生まれてから今日まで、常に自分と共にある身体、どこかに行くには必ず足を使い歩かなければなりません。このようなあたりまえのことに注意を向け、身体を気遣うことから土台づくりははじまります。

グラウンディングとは、グラウンド(大地)に足をつけるという意味ですが、ただ単に立つということでなく、体がバランスよく自然に立ちしっかりとした感じを与えるふるまいのことをいいます。また、「地に足をつける」という言い方は、身体だけでなく心理的にもしっかりとした基盤をつくり、行動が現実に根ざしているということを意味します。

グラウンディングされているかどうかは、体型や筋肉が強く体力があるかどうかには全く関係ありません。今の自分の身体をどれだけ感じることができ、その身体は常に大地に支えられているのだという内面の力強さを養うのが重要です。フィットネスやスポーツはとても結構ですが、それらはどちらかというと何かの目標に向かって努力し、身体を変えていこうとする上向きのスタイルになっています。「何かになろう」とする気持ちが強すぎると、緊張が続き本来の力が出せないと言うことは誰でも経験があるのではないでしょうか。

グラウンディングはその反対で、「努力」を手放して身体の中心にやすらぐことです。緊張して上に上がりがちな意識を腹に持っていき、身体が元々持っている力強さや躍動感を味わってみます。普段の私たちは、身体を感じるのではなく身体について考え操作しようとするのです。この「操作しよう」とする考えを一旦脇におき、身体の衝動にゆだねてみるのです。上向きではなく下向き、深いところへ落ちていくという感じです。

私たちの文化は、成し遂げること、効率、すぐに役立つことが求められるため、下へ向かうということは、あまり良いように思われていません。しかし、下がなければ上もないように、土台がしっかりしてはじめてその上に築くことができるのです。考えばかりが先行し現実の行動が伴わないということはよくあります。その原因がこのグラウンディングする能力の欠如にあり、またこの実践をすることにより、現実に根ざした実行可能な思考が浮かびやすくなるのではないでしょうか。

バブルの時期の実体のないマネーゲームやゲームやインターネットの中のヴァーチャルリアリティにはまる若者、経済の拡大のみをめざしたための環境破壊などは典型的な例と言えるでしょう。すべての根源に、心と身体のつながり、身体と自然のつながりの希薄化があります。他とは独立した競争に勝てる自己を望むあまり、自律性が行きすぎて孤立してしまったようです。「一人立ちする」ということは孤立した自己になるのではなく、他者との豊かな関係性の土台の上に立つという姿勢だと思います。

つながり感覚が大切なのは、事実私たちは分離した個人ではないからです。ここで分離と区別の違いを知ることが重要です。すべての存在は、それぞれ区別することができ違っていますが、分かれてはいないということです。どこを見渡してみても、分離する境界などありません。大地や空気、思考などで常に存在は相互に浸透し一つとなって動いているのではないでしょうか。境界線とは私たちの頭の中で作り出した便宜的なもので、実際には存在しないということを理解しつつ境界線をうまく利用していく智慧が必要です。そうでないと、境界線はすぐに戦線になり、ありもしない境界線のために争うことになるからです。

この事実を頭だけで考えるのではなく、「腑に落ちる」という言葉が意味するように、体全体で納得するのがグラウンディングのワークです。ワークという感じることをするのは、最初少しわざとらしく思うかもしれませんが、事実をしっかりと実感するための技法=わざであり、ふだん言われるまで気にしなかったことに気づくためにわざわざやってみる必要があるのです。思っていたのと実際にやったのとでは全然違った理解になるでしょう。

ある意味でグラウンディングは、成長の過程と言えます。心の中で抱いた夢を現実に実現する、心のエネルギーを実際の形にするということだからです。


         バイオエナジェティックスのグラウンディング

自分が地球と調和がとれてグラウンディングしている感覚を確かめるエクササイズ
 (1) 両足を肩幅に開き、リラックスして立つ。腰に手を当ててゆっくりと後ろに反っていく。
    身体がきれいな弓を描いている状態でしばらく静止する。身体全体のエネルギーを味わってゆっくり上体を戻す。

このように弓のように反った姿勢を続けるのは、身体の各部分が完全にバランスを保っていないと難しいです。バランスがとれていると、身体は足から頭までエネルギーが満たされ、地に足がつき、空中に頭があることを感じるとともに、完全に大地とつながれ統合されていると感じます。

この姿勢がきれいなアーチを描いているか、確認してみましょう。緊張が多くアーチを描けない人は、自分自身や世界との調和が欠け、グラウンディングされていないのかもしれません。これは、普段運動しているとかいないとかという問題ではなく、バイオエナジェティックスでは身体のどこかに精神的な緊張が隠されているとみなします。身体のこわばりとエネルギーの滞りと心のこだわりは、お互い影響しあい形成されていきます。

このエクササイズは、姿勢と言う側面からこの固まりを崩していこうというものです。エネルギー的に充電された状態なので、両脚が震えてくるかもしれませんが、これは大地と身体のエネルギーが通ってきた証拠なので震えるがままにして大丈夫です。脚の振動は脚部の感覚を高めます。

  (2) 壁に手を触れてバランスをとりながら膝を曲げて片足で立つエクササイズ

  (3) 膝を軽く曲げて前屈し、指先で軽く床を触れるエクササイズ
  
 「生命エネルギーの見地からすれば、グラウンディングが有機体のエネルギー・システムの中で果たす役割は、接地(アース)が高圧の電気回路において果たす役割と同じである。つまり、過剰エネルギーを放出する安全弁の役割を担っているのだ。充電の過剰(感情、ストレスをためこむ)は、グラウンディングして大地に流していかないと危険である。ヒステリーを起こしたり、強い不安に襲われたり、ひどく落ち込んだりするのだ。ワークにより私が確実に知っているのは、大地との接触感が強ければ強いほど、よりしっかりと自分の基盤を保ち、より高い充電に耐え、より多くの感情を扱うことができるということである。」  「バイオエナジェティックス 」 ローウェン

         大地との一体感を得る    コスモス・セラピー

できれば自然環境の美しい野外で、そうでなければゆったりとくつろぐことのできるような室内でもいいが、ともかく横になって十分リラックスする。
十分リラックスしたら、目を閉じ、全身と大地が床が触れ合っている感じをよく感じる。続いて自分の心の状態に意識を向ける。そして指摘されると、ほとんどの方が、「自分が横になっている」「私が寝ている」という感覚で横になっていることに気づくだろう。

その感覚を、意識的に「大地が(床が)私を支えていてくれる」という感覚に切りかえるようにしてみるのである。心の中でその言葉を自分に言ってみると、より感じやすくなるだろう。

まず、「床が私を支えていてくれる」と思いながら、体でそう感じてみる。
床は床だけで存在することはできず、建物の構造全体によって支えられている。そこで、建物全体をイメージしながら、「この建物全体が私を支えていてくれる」と感じてみる。建物は大地に支えられることによって存在することができる。「私は、床ー建物ー大地によって支えられている。」とイメージし、感じるようにしてみる。

そうイメージした場合の「大地」は、どのくらいの広がりでイメージされているだろうか。建物の建っているあたりだけではないだろうか。それを意識的に広げていくのである。「この土地は、町全体につながり広がっている。だから私は、町の大地に支えられている。」「町は市全体につながり広がっている。だから私は、市全体の大地に支えられている。」

もうおわかりのとおり、これを県ー日本列島ーアジアー地球全体にまでイメージとして広げ、感じていくのである。そのとき、できるだけ縮尺した地図を上から見るという感じではなく、原寸大で感じる努力をしてみる。

そして地球まで広がったら、心の中で「私は地球に支えられている」と言ってみる。そして、さらに「私は地球(大地)に支えられており、地球につながっており、地球と一体なのだ。」と感じるというのはどういう感覚なのか、自分にできる範囲でかまわないので、できるだけ感じてみようとするのである。うまく感じられた程度に応じて、地球感覚的な自信が湧いてくるだろう。

それから、広がったイメージをゆっくりと(これがコツだが)縮めていく。そして、今ここにいる自分の等身大の身体感覚に戻ったら、しばらくゆっくりと休んでから、ゆっくり目を開ける。             「生きる自身の心理学」 岡野守也より



          エネルギー的グラウンディング
 
 私たちの存在は、身体と心ともう一つ、生体エネルギー(気)の循環で成り立っています。「気」は身体と心を結ぶものと言われ、気のとおりをよくすることにより健康や心のやすらぎを得ようとするのが気功です。いくつもある気功の中でグラウンディングに有効なのが、丹田を鍛えることです。

丹田は、おへそから指4本下で腹と腰の真中にあります。解剖学的にも身体の中心に位置する丹田に集中し気を集めることにより、エネルギー的にとてもパワフルになります。自分の中心感覚が養われ、「何が起こっても大丈夫だ」という内なる自信が自然と身についてくるでしょう。そして身体の中心と地球の中心をイメージでつなげ、大地のエネルギーで丹田を満たしていきます。内なる自信は大地のバックアップでより強固になるでしょう。

まず、両足を肩幅かそれよりやや広めに開き、ひざをリラックスさせて立ちます。前後左右に揺れてみて一番しっくりくる位置を探します。肩の力を抜き、首の緊張をとって、床からまっすぐにしっかりと自然体で立っている感じをつかみます。
下腹部の真ん中、体の中心線上、へその下指4本のところに、金色のボールを思い描きます。このボールが丹田で、これは細いレーザーの光の線で地球の中心につながっています。

吐く息と同時にこのボールから光の線を伝わって体の老廃物やストレス、否定的な感情を流していきます。次に地球の中心を満たしている熱く溶けた赤いマグマを思い浮かべ、熱いエネルギーがこの光の線を通して昇っていき、自分の丹田を満たすのを感じとってみます。うまくつながることができれば、体が熱くなるのに気づくはずです。丹田が赤く輝き出すのを感じることができるかもしれません。

                 「癒しの光」  バーバラ・ブレナン より



         日常でのグラウンディング

日常生活においては、立つこと、座ること、歩くことなど、あらゆる動きの中でグラウンディングを実践することができます。朝起きて立つときには、何となく立つのではなく、意識的に注意深く身を起こし、体の動きと連動させて心理的に立つ、つまり意志を表してみましょう。すぐに、エネルギー的グラウンディングをして大地とつながってください。そして、「今日一日、自分の中心に根づき、やすらぎに満ちて過ごそう」と決めましょう。

歩く時は、「何かに向かって進んでいる」「目的のために行動を起こしている」と感じながら、大地を力強く踏みしめるのもいいでしょう。あるいは、何の目的も持たず、ただこの瞬間の歩行に意識を向け、一歩一歩ゆっくりと大事に歩くのもいいでしょう。普段より歩く速度を遅くするだけでも、意識の変化が起こり、周りの景色や内なる安心感が変わってきます。

座るときには、力を抜いて、つまり「何かを達成する」「何かをしなければ」という緊張を手放して、ただ座りましょう。「腰を落ち着ける」という表現があるように、今この瞬間あるべきところに在るという感じを味わってください。一日5分でも、すべての欲望、義務、考えを明渡して、静かにただ座ってみましょう。そして寝るときは、大地に溶けていき、完全に身をゆだねて休みましょう。

このような実践は最初はピンとこないですが繰り返し行うことにより、無意識に浸透していき徐々に実際の現実を変えていく力を持っています。特に意識しなくても自然とつながりを感じ、自信とやすらぎはゆるぎないものとなるでしょう。これは、人間関係や社会的にすべてうまくいくということではなく、一見否定的な状況や混乱も含めてOKだということを心の奥で納得できるということです。外側で何が起ころうと自分の中心は何も変わらず自信とやすらぎに満ちているということです。



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